あの頃の私は
お酒を毎晩、浴びるように飲んでいました。
もともと夫婦そろってお酒が好きで、
「共通の趣味は?」と聞かれたら、迷わず「お酒」と答えるほどでした。
しかしその時は、楽しむために飲むお酒ではなく、
ひたすら忘れたい、悲しみから逃れたいーー
そんな、つらいお酒でした。
「もし、私がこのまま◯んだら、あの人は悲しむだろうか」
「自分のやったことを、少しは後悔するだろうか」
そんなことばかり考えてました。
「離婚」ーー
その言葉を、結婚して初めて真剣に考えたのも、この時でした。
当時、子どもは二人ともまだ小学生。
これから先の長い子育てが待っていました。
私は専業主婦。
「どうやって育てていけばいいんだろう・・・」
途方に暮れる思いでした。
実家に帰ったときに、母に相談しました。
でも母は、
「子どももいるし、離婚はしないほうがいいよ。」
とだけ言いました。
夫の裏切りのことを詳しくは話せず、
「女のことで・・・」と、ぽつりと漏らしただけ。
当時は今ほど離婚が多くなかった時代。
母の中には、世間体を気にする気持ちもあったのだと思います。
ーーそれから十数年後、再び夫の裏切りを知った私は、
今度こそ離婚を決意して、実家に戻ることを母に告げました。
すると母は、まるで娘の帰りを待ち望んでいたかのように、
とても嬉しそうに喜んでくれたのです。
同じ「離婚」という言葉でも、
時代や状況によって、こんなにも受け止め方が違うのかと
思わず苦笑いしてしまいましたーー
それでも私は、まだ揺れていました。
やはり離婚しないほうがいいのか・・
でも、夫のやってきたことは許せない。
そんな葛藤のなかでーー
ある日、私の中で、
離婚をするかしないかを決定づける出来事があったのです。
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