数年前のこと。
老後の暮らしについて、夫と何気ない会話をしたことがありました。
そのとき、夫はこんなことを言ったのです。
「将来、実家に帰る。建て替えて住むつもりだ。」
「お前は来ないだろうから、実家に帰ればいいじゃないか。」
・・・私は一瞬、言葉の意味がよくわかりませんでした。
それってつまり、別居するってこと?
「もし別々に暮らすことになったら、私は自分の年金だけじゃ生活していけない。」と伝えると、
夫はこう返しました。
「かわいそうだな」
「大変だな」
まるで他人事のように、感情のこもっていない声で。
夫は長男で、結婚当初は夫の家族と同居生活をしていました。
海外赴任からの帰国の時に、私の強い希望で今は別々に暮らしています。
夫の家族との同居生活から別居に至った経緯は↓こちらの記事で書いてます。
今は、夫の実家には夫の両親が住んでいますが、夫はその家を建て替えて継ぐことに強いこだわりを持っているようです。
一方で、私の実家には母が一人で暮らしており、いずれ母が亡くなったら、実家を売却することになるだろうと私は思っていました。
今の私たちは、夫の勤務先近くに購入したマンションに住んでいます。
私は本当はこのままずっとこの家に住み続けたいと思ってました。
でも、マンションの管理費や修繕積立金などを考えると、自分の年金だけでこの家を維持するのは難しいのです。
将来、私たちは本当に別々に暮らすことになるのだろうかーー。
不安になった私は、勇気を出して夫に気持ちを伝えました。
「私はね、老後はあなたと二人で、のんびり旅行に行ったり、
たまには外食を楽しんだり、そうやって一緒に暮らしていきたいと思ってるの。
あなたは、どう考えてる?」
夫は少し間をおいて、あっさりこう言いました。
「はい。それでいいです。」
私はその言葉に、すこし安心しました。
でも、夫の実家の問題は何も解決していません。
もしかしたら私はまたあの家に住むことになるのかもしれない。
気乗りはしませんが、現実として考えざるを得ない気がしていました。
そして、夫に確認はしたものの、夫との将来に関しては一抹の不安を感じていました。
そして今ーー
夫の裏切りを知った私は、あの言葉さえも信じられなくなっています。
「実家に帰れ」と言ったあの時点で、
夫はすでに自分の人生を”私抜き”で考えていたのではないか。
いや、もしかしたら、すでに女と自由に生きたいと思っていたから、
”別で暮らす”なんて言葉を口にしたのではないか。
すべてが疑わしく感じてしまう。
それが今の正直な気持ちです。
もし、今回の夫の裏切りを知らなければ、
私は今もあの人の言葉を信じていたのかもしれません。
でも、あの時に感じた「違和感」は、
夫婦としてこのまま一緒に生きていけるのか、
老後も同じ家に暮らせるのかーー
そんな根本的な不安を私に突きつけました。
このまま結婚生活を続けていたとしても、
最終的には”別々に暮らす”ことになるのではないか。
そんな未来がぼんやり見えてしまったことが、
私が離婚を決めた理由のひとつでもあるのです。
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