家計をすべて担ってきたのは、私です。
結婚してから、家計はずっと私が管理してきました。
自分の両親がそうしていたので、結婚すれば自然に妻が家計を預かるものだと思っていたんです。
でも夫はずっとこう言ってきました。
「お前が勝手に決めたんだろ。」
その言葉を聞くたびに、心のどこかがじくじくと痛みました。
夫は、「使いたいときに使えばいい」「お金なんてなんとかなる」という考え方。
一方の私は、将来を見据えて、計画的に貯めて、必要なときに備えるタイプです。
私としては、夫には心配で任せられないのです。
たとえば車を買うとき。
夫は「欲しい」と思ったら、すぐにローンを組んで買います。
私は「欲しい」と思ったら、そのために毎月積み立てて、貯まったら現金で一括払い。
ローンは家以外では絶対しない主義です。
学生時代のある出来事が、今でも忘れられません。
当時付き合っていた夫が、私の誕生日に服をプレゼントしてくれると言って、二人で洋服屋さんに行きました。
たくさん試着をして、気に入ったスーツを選びました。
学生の私には高価なものでしたが、彼が一緒に選んでくれて、「こんな素敵なものをプレゼントしてくれるなんて・・・」と申し訳なく思いながらも、胸がいっぱいでした。
店員さんにも「プレゼントしてもらえるなんて、素敵な彼氏ですね!」と声をかけられて、私はすっかり舞い上がっていました。
レジで彼と店員さんに言われるまま、名前や口座などいくつか書類に記入をして、買い物は終わりました。
でも、その翌月から、私の口座から数千円ずつ引き落としが始まったのです。
そう、夫が払ったのは頭金の一部だけで、
残りは私の分割払いになっていたんです。
あのとき、きちんと説明を受けていたのか、私は覚えていません。
というより、知識も経験もなくて、説明されても理解できていなかったのかもしれません。
一人暮らしでぎりぎりの生活をしていた中でのスーツ代の分割払いは、本当に重かった。
「なんで私が払ってるの?」
そう夫に言うと、返ってきたのは、
「でも、あの服、いいだろう?選んだのは俺だし」
それだけでした。
この出来事がきっかけで、私は分割払いは絶対しないと心に決めました。
経済感覚の違いは、結婚してからもずっと続きました。
夫にお金のことで何かを頼まれて、
「今はそんな余裕はない」と伝えると、
「貯金なんてしなくてもいい。なんとかなる。」
そう言われて、よく喧嘩になりました。
家のローン、マンションの管理費、車の税金、固定資産税、光熱費、保険料、通信費、車検代、子どもの教育費・・・
これらすべての支払いを、私が一人で把握し、管理してきました。
夫はそれが「いくらかかっているか」を知らないし、知ろうともしません。
一度、家計の内訳を紙に書いて見せたことがあります。
でも夫はざっと見ただけで、貯金の欄を指差して、
「この貯金、いらないだろ?」
そう言ったんです。
そのとき、私は言葉が出ませんでした。
家計のことを一緒に考えてくれる夫婦を見ると、心から羨ましくなります。
我が家はずっと、私だけが将来を心配している状態でした。
もし夫が私と離婚したい理由を挙げるとしたら、
「自由にお金を使えないこと」も、きっとその一つだったと思います。
でも、夫は十分にお金を使っていたと思います。
たとえば、会社からの出張費は、私の把握できない別口座に入金されていましたし、
派手に使わなければ足りないことなんてなかったはずです。
現に、海外から日本へ”カラ出張”を何度もできたわけですからね。
「なんとかなるさ」と言いながら、夫はいつもお金に執着していました。
家族の将来のためでも、暮らしを守るためでもない。
ーー家族の将来のことよりも、ただ、”自分のために使うお金”を増やしたかった。
それだけの言葉だったのだと思います。
次は、そんな夫が私に向かって言い続けてきた、ある言葉の話です。
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