離婚するか、それとも別居したまま婚姻関係を続けたほうがいいのか。
そのことで、迷っていた時期がありました。
そんなときに私が考えたのが、
「感情ではなく、制度と数字で見たらどうなるのか」
という視点でした。
そこで、年金に焦点をあて、遺族年金と年金分割の違いについて、あらためて調べてみることにしました。
50代後半の私にとって年金生活はもうそこまできています。
今の気持ちだけで決めてしまって、
老後になってから「こんなはずじゃなかった」と後悔するのは避けたい。
だからこそ、一度立ち止まって、冷静に整理してみようと思ったのです。
選択肢は大きく2つ
今の私には、大きく分けて次の2つの選択肢があります。
- A:別居したまま、法律上の婚姻関係を続ける
- B:離婚し、年金分割をする
年金生活の時に、この違いが一番はっきり出るのが、
「もし将来、夫が亡くなったときに、私はどうなるのか」
という場面です。
そこで、その場合を想定して比べてみることにしました。
前提条件(仮の数字)
ここでは、あくまで分かりやすくするために、
次のような年金額を仮定します。
- 夫の年金
基礎年金:75万円
厚生年金:160万円
→ 合計 235万円/年 - 私の年金
基礎年金:75万円
(厚生年金なし)
婚姻関係を続けた場合(遺族年金)
婚姻関係がある状態で夫が亡くなった場合、
私は 遺族厚生年金 を受け取ることができます。
遺族厚生年金は、
夫の厚生年金の4分の3 が支給されます。
- 遺族厚生年金:160万円 × 3/4 = 120万円
その結果、私の年金は
- 自分の基礎年金:75万円
- 遺族厚生年金:120万円
👉 合計:195万円/年
になります。
離婚した場合(年金分割)
一方、離婚して年金分割をした場合、
もらえるのは 婚姻期間中の厚生年金の最大2分の1 です。
(ここでは簡略化して、分割後の厚生年金を約75万円とします)
その場合、私の年金は
- 自分の基礎年金:75万円
- 年金分割でもらった厚生年金:75万円
👉 合計:150万円/年
となります。
年金額・課税の違いを表で比較
婚姻継続と離婚(年金分割)の比較
| 項目 | 婚姻関係を続けた場合(遺族年金) | 離婚した場合(年金分割) |
|---|---|---|
| 年金の内訳 | 基礎年金75万円 +遺族厚生年金120万円 | 基礎年金75万円 +厚生年金75万円 |
| 年金総額 | 約195万円/年 | 約150万円/年 |
| 遺族厚生年金 | あり | なし |
| 課税対象 | 基礎年金のみ | 年金全額 |
| 遺族年金の扱い | 非課税 | ― |
| 住民税 | 非課税世帯になる可能性大 | 課税される可能性あり |
| 国保・介護・後期高齢者医療 | 負担が軽くなりやすい | 負担が重くなりやすい |
| 制度上の有利さ | ◎ | △ |
| 感情面 | △ | ◎ |
遺族年金は「非課税」であることの大きさ
ここで、私が特に大きいと感じたのが、
遺族年金は非課税である
という点です。
年金の総額が195万円であっても、
計算上は 基礎年金の75万円しか収入がない と判断されます。
その結果、
- 住民税:非課税
- 国民健康保険料:7割軽減
- 介護保険料:低い段階区分
- 後期高齢者医療:低い負担区分
となる可能性が高くなります。
一方、離婚して年金分割した場合は、
受け取る年金すべてが課税対象となり、
その金額をもとに各種保険料が計算されます。
財産分与・相続という視点
年金だけでなく財産の面でも比較してみました。
- 婚姻関係がある場合
→ 法律上、配偶者には2分の1の相続権があります(子がいる場合)
→ 実際には、妻が多くを相続するケースも少なくありません - 離婚した場合
→ 財産分与は婚姻期間分の財産の2分の1
→ 話し合いや駆け引きが必要
制度と数字でみた結果は
制度や受け取る金額を見ると、
婚姻関係を続けたほうが有利
と言わざるを得ません。
現在遺族年金は、将来的に見直されていく可能性がある制度です。
ただ、今の50代については、
現行制度がそのまま適用される可能性が高いとも言われています。
この点も理解したうえで、判断しています。
ここまで整理してみて、
「離婚しないほうが経済的に有利なのは、当たり前といえば当たり前だな」とも感じました。
遺族年金や相続、税や保険の仕組みは、
そもそも「長年連れ添った配偶者を守る」ために作られている制度です。
そう考えると、
婚姻関係を続けているほうが条件が良いのは、特別なことではなく、
制度上、当然の結果なのだと思います。
それでも、私が選んだ結論
ここまで整理すると、
「じゃあ、離婚しないほうがいいのでは?」
と思われるかもしれません。
でも、私の中には、どうしても無視できない気持ちがあります。
- 夫とは、すでに気持ちの上では終わっていること
- もう夫とは関わらずに生きていきたい気持ちが強いこと
そして
年金生活になれば、別居生活での婚姻費用もほとんど期待できないだろう
という想定もあります。
あと、もう一つ忘れてはいけないのは、
夫がいつ亡くなるかは分からないということ。
そして、私自身が先に亡くなる可能性もあるという現実です。
遺族年金はあくまで「万が一」の備えであり、
それを当てにして人生を決めることはできません。
だから私は、
これからの自分が生きている間の生活を基準に考えることにしました。
制度上の有利・不利をすべて理解したうえで、
私はこう決めています。
- 別居はする
- しかし、すぐには離婚しない
- 65歳前を目安に離婚する
これは感情の問題ではありません。
自分の老後、
自分の生活、
自分の人生を守るための
現実的な選択です。
まとめ
年金という制度だけを見れば、
- 婚姻継続(遺族年金):金額も非課税面も有利
- 離婚(年金分割):金額も負担も不利
という結果になります。
それでも、
数字の有利さと、心の納得は必ずしも一致しない
というのが、今の気持ちです。
だからこそ、
感情だけでも、制度だけでもなく、
両方を理解した上で選びたい。
そう思って調べたことを今回書き出してみました。
このブログで
同じように悩んでいる誰かが、
一度立ち止まって考えるきっかけになればうれしいです。
この話を読んで、
「それなら離婚しないほうがいい」と離婚を思いとどまる人もいるかもしれません。
それも一つの、間違いのない選択だと思います。
制度の上では、「妻」でいるほうが守られる場面が、確かにあるからです。
※年金額・課税・保険料の扱いは、制度改正や個人の条件、自治体によって異なります。
必ずご自身の状況で確認してください。
▶ 前回の記事をまだ読んでいない方はこちら →離婚後の年金受け取り時期を決める判断基準:住民税非課税額
※これまでの夫の裏切りの経緯は、裏切りの年表で時系列で確認できます。


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