事務所で出迎えてくれたのは、40〜50代くらいの男性でした。
通されたのは、会議室のようなシンプルな部屋。
私はすぐに本題に入りました。
夫の不審な行動や、私がこれまでに掴んだ小さな証拠。
そして、積み重なってきた裏切りの数々――
それらを、すべて初対面の探偵に話したのです。
家族にも言えなかったことを、知らない男性に話す。
それはとても恥ずかしく、そしてつらい時間でした。
けれど、その男性は私の話を一度も遮ることなく、
真剣に耳を傾けてくれました。
必要な場面では、夫の職業や生活パターンについて丁寧に質問してくれて。
私は、少しずつ気持ちを整理しながら話すことができました。
話が一通り終わったあと、彼は私にこう尋ねました。
「こはるさんは、ご主人と離婚したいですか?」
——この言葉は、以前のブログにも書きました。
探偵の話によると、慰謝料の相場はおおよそ次のようだそうです:
- 同居を続ける場合:50〜100万円
- 別居する場合:100〜200万円
- 離婚する場合:200〜300万円
さらに、結婚期間の長さや、子どもの有無でも金額は変わるとのことでした。
でも……
心を壊され、体を壊され、家族まで壊されたのに
「たったの300万円」。
物価は上がっているのに、慰謝料の金額は何年も変わっていない――
その事実が、信じられませんでした。
そんな金額で、とうてい受けた深い傷が癒えるわけがありません。
けれど、もらえなければ“ゼロ”。
だからこそ、確実な証拠がどうしても必要だったのです。
夫が、誰と、どんなふうに関わっているのか。
もう、知らずにはいられませんでした。
その後、調査する自宅周辺場所の確認や、料金の説明を受けました。
最後に探偵から、
「他の探偵事務所にも相談される予定ですか?」
と聞かれましたが、私はもう心は決めていました。
他の事務所に、また一から説明する気力が残っていなかったこと、
そして、目の前の彼にどこか“信頼できそう”と感じたこと――
その直感を信じることにしたのです。
ネットでは、
「最低でも2〜3件は見積もりを取った方がいい」
とよく書かれていますが、私にはもう時間がなかった。
調査をお願いしたい日が、すぐそこまで迫っていたのです。
一度帰宅し、翌日。
私はその探偵事務所に連絡し、正式に依頼することを決めました。
結果的に、その探偵とは約5ヶ月の付き合いになりました。
調査だけでなく、何度も相談に乗ってもらい、
少しずつ気持ちの整理もできていきました。
あとから聞いた話によると、
詐欺まがいの探偵事務所も多いそうです。
私は、たまたま最初に出会った探偵が信頼できる方だった。
今思うと、それは本当に運がよかったのかもしれません。
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