調査が進む中で、私の予想を裏切るようなことが起こりました。
私がずっと「この人だ」と睨んでいたターゲットでは、不貞の証拠が撮れなかったのです。
ホテルに行かない。
私が以前つかんだ情報では、どこかのホテルに行った形跡はあるのに、調査期間中は一度もそのような行動がなかったのです。
それでも、夫がこの女性に特別な感情を抱いていることは他の証拠や夫の言動で明らかでした。
彼にとってこの女性は、「大事にしたい女」。
平日の夜に飲みに行くだけでも、まるで有頂天のような様子。
飲みに行く前に一旦家に帰ってきた時は、歯磨きをしたり、靴下まで新しいものと替えたりしてましたから。
執着のような感情すら見え隠れしていました。
夫が最優先していた(と私は思っていた)「仕事の会食」すら断って、女との食事を優先していたことにはとても驚きました。
ある時、わざとこの女性との飲みの最中に私が電話をしてみたことがありました。
着信には無視。その後、帰宅した夫は明らかに不機嫌で、台所の壁を蹴り、大きな音を立てました。
「あー!めんどうくせー!」
私に聞こえるように、独り言のような怒声をあげる夫。
あきらかに女との時間を邪魔されたことへの怒りです。
その時、私の心は音を立てて崩れていったのを覚えています。
そして、
毎月のように有給を取り、日帰りでのドライブデート。
もちろん私には「仕事で直行だから、出勤が遅くてもいい。」と嘘。
密かにお土産まで買い、彼は十分に満足しているようでした。
私は知っていました。
もし泊まりに行くなら、夫はきっと“高級ホテル”を選ぶはず。
そういう見栄を張る人間だと、私は誰よりも知っていましたから。
きっと過去に「出張」という名目で二人で泊まりにいったに違いありません。
私がかつて「老後は、夫婦でゆっくり旅行に行きたいね」と話していたとき、彼は曖昧に笑っていました。
けれどそれはもう、別の女性と先にやっていたのです。
女とのデート先は、私が一度も行ったことのない遠くの観光地。
「仕事が忙しい」と言って、私たちとの家族旅行は計画すらしなかったくせに。
私が「温泉に行きたいな」と言った時も
「そうだな」と言いながら何一つ行動しなかったくせに。
有給は「女のため」に使っていたことがはっきり分かりました。
しかも、その女と夜に飲みに行く場所は、
家族の特別な日にしか行かないような高級焼肉店や高級寿司店。
さらには、私と夫が週末によく一緒に通っていたイタリアンにも。
数年前、夫は「あの店とはいろいろトラブルがあって、もう行かない!」と言っていたのに――
あれは、私を近づけさせないための嘘でした。
私との思い出の詰まった店を、
あの女との“二人だけの場所”にしてしまったのです。
それを、頻繁に、楽しそうに……。
私の大切な思い出を、平気な顔で踏みにじっていたなんて――
悔しくて、悲しくて、胸が張り裂けそうでした。
もうこれは、ただの裏切りではありません。
家族を踏みにじる行為です。
そして、
探偵からその女の名前を聞いた時、私は驚きました。
コメント