夫の調査を始めてからというもの、
私は毎日のように夫の行動を監視し、些細なことも記録するようになりました。
夫が何時に出て、何時に帰ってきたのか。
その日はどこに飲みに行っていたのか。家でご飯は食べたか。着ていた服はどんなものか。
私が夫の部屋に入った時に何をしていたのか。
そんなことを記録しながら過ごすうちに、
私の心と体は、だんだんとおかしくなっていきました。
疑いながら暮らすというのは、心が少しずつ削れていく作業です。
そんなある日、探偵にこう言われました。
「もし離婚することになった場合、うつ病などの診断があれば、調停や裁判の場で有利になることがあります。一度、心療内科に行ってみてはどうですか?」
そのとき、私はその言葉に反発する気持ちはありませんでした。
もうすでに、自分でも“何かが壊れている”と感じていたからです。
ネットで「うつ病 症状」と検索すると、
- 眠れない
- 悪い方向へ想像してしまう
- 感情を感じない
- 体がだるい、倦怠感
- 食欲がない
- 自信喪失、自己評価の低下
- 今まで楽しめたことができなくなった
- 人と会うのがしんどい、避けてしまう
- 涙が出てくることが増えた
そんな症状が、自分に当てはまりました。
なので私は「きっとそうなんだろうな」と感じていました。
探偵にそう言われなければ、きっと私は「時が経てばこの症状も治る」と信じて、受診はしなかったと思います。
でも、「離婚が有利になる」というその言葉が、行くきっかけになりました。
胃の痛みでクリニックにかかったときにもらった睡眠導入剤も、少なくなってきていました。
それも欲しい気持ちがあり、心療内科を受診しようと決めました。
地域の心療内科を探してみると、初診の予約がなかなか取れません。
予約がいっぱいだったのです。
心療内科って、初めてかかるのがこんなにも大変なんだと知りました。
ようやく一軒、初診の予約が取れる病院が見つかり、そこに行くことにしました。
初めての心療内科。
まさか自分の人生で受診することになるなんて、思いもしませんでした。
「どんなところなんだろう。」
緊張しながら、クリニックのドアを開けました。
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