これまで私は、週末も仕事に出かける夫を「仕事が大変なんだな」と思い、ねぎらってきました。
夫自身も「仕事が忙しくて大変だ」と言い、二人で飲みに行ったときには、その愚痴を黙って聞いてあげていました。
「お疲れさま」
その言葉は、ただの形式ではなく、私の心からの気持ちでした。
忙しいのは、責任ある立場で働いているから仕方がない。
そう思っていた私は、週末の出勤にも理解を示し、家族で出かけたいという気持ちがあっても、ほとんど口に出すことはありませんでした。
「仕方ないよね、仕事だからね」
そう言い聞かせて、子どもの世話も、家のことも、全部ひとりで引き受けてきました。
けれどその「仕事」が、まさか――
女との密会だったなんて。
「仕事」と言えば、すべてが許されると思っていたのでしょう。
家庭を顧みず、家族を裏切ってでも、自分のしたいことを正当化できる魔法の言葉。
でもその言葉の裏には、ずっと私を騙し続けていた現実がありました。
この調査期間中に、私は繰り返し思い知らされました。
夫は、私に平気で嘘をつく人間なんだということを。
夫の嘘がわかるたびに、心が痛み、信頼が少しずつ崩れていくのを感じました。
嘘をつかれたこと自体もつらいのですが、
その嘘に何度も騙されてきた自分も悔しかったのです。
もしかしたら、あの時も、この日も。
思い返せば思い返すほど、「あれも嘘だったのか」と点と点がつながっていく。
夫の「仕事が忙しい」という言葉も
忙しいのに女と食事に行く時間はあるんだ。
忙しいのに女と日帰りデートに行く時間があるんだ。
忙しいのに女の部屋で過ごす時間があるんだ。
その言葉すらも、もう信じることはできなくなりました。
夫婦の関係はもう、元には戻れない――
そう確信する日々でした。
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