「離婚したいですか?」
探偵に相談に行ったとき、そう聞かれました。
これまでの夫の裏切りを思い返し、浮気を確信していた私は、
迷うことなくこう答えました。
「離婚したいです。」
あの時、私は初めて離婚を現実として捉え始めたのだと思います。
それまでは、夫の裏切りの証拠が出てくるたびに
怒りとショックで心が痛み、
悲しみに覆われる毎日を過ごしていました。
でも、離婚という選択を考えるだけの余裕は、
まだ心のどこにもなかったのだと思います。
探偵の方はこう話してくれました。
「調査には費用がかかります。
もし調査をしても、慰謝料がその費用より少なければ、
依頼者が損をしてしまうことになります。
それでは、探偵として依頼者に寄り添った調査とは言えません。」
そのため、今後の調査の方針を決める前に、
私自身の意志を確認するための質問だったのです。
ですが私にとっては、それ以上に、
自分の気持ちをはっきりと認識するきっかけになりました。
その後も、その気持ちは変わっていません。
ただ、揺れ動くことはやはりあります。
たとえ裏切りを許せなくても、
このまま夫婦として生活を続ければ、
・将来の生活に金銭的な不安はない
・子どもと離れず、近くでフォローできる
・今の仕事も辞めることなく、65才まで働ける
・離婚による面倒な手続きや引っ越しが不要
・離婚届の記入や年金分割の手続きで、夫に協力を頼む必要がない
そんな「現実的なメリット」がたくさんあるからです。
でも、このままの生活を続けるということは、
「裏切られたまま生きていくこと」でもあります。
夫は必ず浮気を繰り返すはずです。
屈辱の中で、心を犠牲にしながら暮らしていく人生。
あと30年生きるとしたらーー
本当にそれで、私は幸せなのでしょうか?
私は自分に問いかけながら、
前に進むための準備を続けています。
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