離婚しないと決意した私は、夫に誓約書を書かせました。
内容は夫自身が考えて書いたもので、ところどころ難しい言い回しもあり、抽象的な表現が多いものでした。
誓約書に書かれていた内容は、こんな感じでした。
・家庭内の事柄に献身的にあたり、家族の豊かさを優先する義務を有する。
・25時(深夜1時)を越える帰宅の場合、連絡をする義務を有する。
・全ての行動に品格を保ち、やむを得ない接待でも、家族が許せる範囲を超えないモラルある行動をとる。
・妻に対する侮辱や裏切りと思われたこと全てを反省し、陳謝する。妻の不満は受け止め、金銭的な判断にも口を出さない。
・仕事上得た利益をプライベートに持ち込まない。
・妻の定期的な監査を受け入れ、それに反した場合は、妻の判断に従い、制裁を受けることを承諾する。
・・・・と、契約書のような表現で書かれていました。
私なりに意訳すると、
・家族を大事にする。
・朝帰りするなら連絡する。
・女のお店に行っても、女は買わない。
・浮気については反省して謝罪し、妻の不満を言わず、お金の使い方には口を出さない。
・出張旅費など、会社から得た利益を勝手に使わない。
・私のチェックを拒否できず、違反すれば私の処分に従う。
そんな内容と解釈しました。
私はそれで十分でした。
夫が自分で考えて書き、自分でサインをした。
そして、
無記入の離婚届にもサインと印鑑を押させました。
離婚を決めるのは、私次第という意味で。
それら2枚をしっかり保管し、「この人と、もう一度やり直そう」と思ったのです。
信じるという選択
それ以降、私は夫を疑うことをやめました。
一時は持ち物を調べたりしていましたが、
「見ても傷つくだけ。なにもいいことはない。」と思い、
きっぱりとやめました。
夫も、そんな私の変化に気づいたようでした。
少し安心したような顔をしたのを覚えています。
きっと、「このままが一番楽だ」と思ったのでしょう。
私は信じたかった。
契約書を書いて、反省した夫と、もう一度家族として生きていこうと心に決めたのです。
その後は、何事もなかったかのように普通の家族のように過ごしました。
二人で飲みに行ったり、家族の誕生日や結婚記念日に家族で外食をしたりーー
会社の人に、夫婦でよく飲みに行くと言ったら「仲良しだねー」と言われていました。
少なくとも、表面上は「仲良し家族」でした。
でも、心のどこかではずっと感じていました。
「この人、まだ女とつながっているかもしれない。」
そんな疑いを押し殺し、見ないふりをして、私は今の生活と家族を守ろうとしていました。
そして今、思うこと
今になって思えば、夫にとってこれが
「バレても、許してもらえる」
そんな経験になってしまったのかもしれません。
そして夫の中で、超えてはいけない線引きが緩んでいったのかもしれません。
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