この日のことは、あまりに衝撃的で、複雑な感情が入り混じり、正確な記憶が途切れ途切れです。
すべてボイスレコーダーに録音されているけれど、それを聞き返す勇気がありません。
聞けば、また心が引き裂かれそうになる──その恐怖が勝ってしまうのです。
それでも、うろ覚えの中で、私は書きたいと思います。
私は夫に話を切り出しました。
緊張で声が少しうわずっているのを自分でも感じながら、どうにか言葉をつなぎます。
まず、夫の行動に疑問を感じ、調査を依頼したことを伝えます。
そして、探偵の調査報告書のページをめくりました。
夫は証拠写真を少し見た瞬間、
「なんだこれは!俺を調べていたのか!」
と立ち上がり、そのまま部屋に戻ろうとしました。
私は必死に止めました。
「とにかく聞いて。最後まで話を聞いて!」
そう言って、なんとか席に座らせました。
探偵の報告書を順に見せていきます。
そのとき夫が私についた嘘を、一つひとつ説明しました。
夫はムスッとした顔で、
「はいはい、そうですね」
と投げやりに返事。
何度も「もういいわ!」と席を立とうとし、
そのたびに私は必死に座らせました。
過去の夫の浮気、日本へのカラ出張、私に届いたメールについても話し、書かせた誓約書も見せました。
そして──
示談書を読み始めたとき、夫の怒りが頂点に達します。
「なんだ!こんなガチガチなもん作って!」と声を荒げ、
私が「これは弁護士の──」と言いかけた瞬間、
「なに!弁護士だと!ありえんだろ!」と立ち上がり、
「こんなもん絶対サインなんかしない!」と頑なに拒否をしたのです。
ここで前半は終わります。
空気は完全に壊れ、話し合いは想定外の方向へ。
次回、夫の信じられない言い訳と拒絶が続きます。
※これまでの夫の裏切りの経緯は、裏切りの年表で時系列で確認できます。
コメント