予約の当日、15時に探偵と現地集合。
約束の時間に二人でドアを開けると、そこは予想よりずっと小さな空間で、公証人が一人、事務の女性が二人だけ。
私たちはその片隅の椅子に座りました。
まずは来た理由を説明します。
——夫の浮気が原因で…
本当はこういう説明が一番苦手です。
自分でもまだ整理しきれていない内容を、専門家に向かって言葉にすることがとても嫌で、声が少し震えます。
それでも一つずつ説明を重ね、最後に「3年後の離婚を前提にした離婚協議書を作りたい」と伝えました。
その瞬間、公証人はきっぱりと言いました。
「それはできません。離婚は長くても1か月以内にするという約束でないと、公正証書にはできません。」
その一言で、私の頭は真っ白に。
——ああ、やっぱり駄目なんだ。
長い時間をかけ、どうすれば納得できる離婚になるかを考えて作った協議書が、一瞬で不可能になってしまいました。
その後、事務の女性が少しだけ言葉を添えました。
「そう聞かれると“できない”と言うしかないんです。」
その一言を聞いたとき、
——書面上は「速やかに離婚」としていても、実際には離婚が延びることなんて珍しくないんだろうな…
と、私は勝手にそう察しました。
けれど、それでも今の私には何の救いにもならず、胸の重さは消えません。
探偵と公証人の会話は続きましたが、内容は遠くのざわめきのようにしか聞こえず、ほとんど頭に入りません。
1時間ほどで話は終わり、公証役場を後にしました。
外に出ても気持ちは切り替わらず、探偵と車の中でこれからどうするかを暗くなるまで話し合いました。
疲労感でいっぱいの帰り道。
夕方の渋滞に巻き込まれ、慣れない道を1時間以上かけて帰宅しました。
あの日のショックと虚脱感は、今でも胸に残っています。
きっと、最初から弁護士に相談していたら、こんなに右往左往せずに済んだのかもしれませんね。
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