Xデー⑧母との電話のあとにあふれた涙

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夫の裏切り

Xデーを振り返って不思議だったのは、

夫の裏切りを知ってから今まで、あんなに泣いて過ごしたのに、その場では涙が出なかったことです。

泣いたほうが夫に響くのかもしれない──そう思う瞬間もありました。

けれどあのときの私は、もう感情よりも「現実をどう動かすか」ということに必死に気持ちが向いていたのだと思います。

その日の夜も、話し合いで何ができて何ができなかったのか──そのことばかりを考えていて、涙は一滴も出ませんでした。

脳が興奮状態だったのかもしれません。

けれど、Xデーの次の夜。

実家の母から携帯に電話がありました。

母には夫の裏切りについて詳しいことは話していません。

「夫に女がいたこと」「いずれ実家に戻りたいこと」──それだけを伝えていました。

そして、”証拠が揃ったからもうすぐ話し合いをする”、とは知らせていたので、心配して連絡をくれたのです。

「話、できた?」

母に聞かれ、私は答えました。

「できたけど、全然認めてくれなかった……」

そこからは、堰を切ったように言葉があふれました。

これまで老いた母に心配をかけまいと、詳しいことは話さず、実家に帰省したときも普段通りに振る舞ってきました。

母の身の回りの世話をして忙しくすることで、自分の気持ちをごまかしてきたのです。

でも、その夜は違いました。

今の気持ちを母に話し、時にこみ上げる涙をこらえながら、心の内を吐き出しました。

母は黙って聞いてくれました。

母との電話を切ったあと、これまで出なかった涙がとめどもなく溢れ出しました。

これまで張り詰めいていた緊張の糸が切れたのでしょう。

悔しくて、悲しくて、辛くて──夫が認めなかったこと、これからの不安、すべての思いが涙となって押し寄せてきたのです。

声にならない嗚咽を抑えながら、長い間ひとりで涙を流しました。

でも、不思議とそのあと少しだけ心が軽くなっていました。

母に気持ちを聞いてもらえたことで、私の中にたまっていた重たいものが、ほんの少し外に出ていったのかもしれません。

──ただ、その分、母には新しい心配を背負わせてしまったのかもしれない。
それが胸に引っかかっています。

▶ 前回の記事をまだ読んでいない方はこちら →Xデー⑦その場しのぎにすぎなかった夫のサイン

▶ 続きはこちら →Xデー⑨心をえぐられる音の暴力の始まり

※これまでの夫の裏切りの経緯は、裏切りの年表で時系列で確認できます。

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