薬を見つけてから、1ヶ月ほどが経ったある週末のことでした。
夫が言いました。
「会社のバーベキューの集まりに行ってくる」
もうお昼を過ぎていたので、
「今から？遅くない？」と声をかけましたが、
夫は返事をせず、そのまま出かけていきました。
その日は、子供が遊びに来る予定だったので、
私は駅まで車で迎えに行く準備をしていました。
夫が出ていって数分後、
子供から「もうすぐ駅に着くよ」と連絡が入り、私も家を出ました。
駅へ向かう途中、ふと目に入ったのは近くのコンビニ。
そこに、夫のうしろ姿がありました。
「あ、コンビニ寄ってるんだ。」
そう思いながら、そのまま車を走らせました。
夜、夫が帰宅しました。
何気なく言いました。
「今日、コンビニ寄ってたね？」
すると夫は、しばらく黙っていました。
すぐに返事がありません。
ーーあれ？なんか変。
沈黙のあと、夫が口を開きました。
「・・・・だから？」
え？ただ「見たよ」って言っただけなのに。
なんでそんな反応をするの？
と私はしばらく言葉が出ませんでした。
そして夫は言いました。
「女といたって言いたいのか？」
・・・は？ まさかの返しに驚きました。
しかし、私はとっさに
女を見たかのように問い詰めました。
「なんで女の人と行くのよ？」
夫は言いました。
「（お酒を）飲むから、会社の女の子に迎えに来てもらったんだ。」
でもーー
「いつもあなた、自分の車で行ってるじゃん。
会社の車、イベントの時は必ず乗って行くんでしょ？」
「そういう時もあるだろ」
その答えに、ますます違和感を感じました。
夫の乗っているのは会社から支給された車。
お酒を飲む時は、タクシーか、会社の人が代わりに運転していくことが通常でした。
それなのに、女の子の車で行くなんて、今まで一度も聞いたことがありませんでした。
あの沈黙。
あの曖昧な言い訳。
絶対に何か隠してる。
そう思っていた矢先の、翌朝のことです。
夫の部屋のゴミ箱に、封筒が捨ててあるのを見つけました。
中に入っていたのはーー
野球のチケット。２枚。半券が切られたもの。
日付は、昨日の午後２時試合開始。
・・・ビンゴでした。
夫は、女と野球観戦に行っていたのです。
しかも、あの日夫は「野球観戦に行く時だけ持っていく水筒」を持ち出していた。
バーベキューは室内のお店と言っていたのに、水筒を持っていくのも変でした。
そして、「バーベキューの後なのに」夕飯をしっかり食べていた。
思い返せば、辻褄の合わないことばかりでした。
会社のイベントに行くと、私には嘘をついていた。
今まで私は、見て見ぬふりをしてきました。
でもーー
もう我慢ができませんでした。
平然と嘘をつかれ、騙されていたと確信したその瞬間、
私は思いました。
調べないと気がすまない。
この日を境に、怒涛の日々が始まったのです。
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